●一応コンセプトアルバムとして作った「脳からの伝言」。
テーマは人間関係。このテーマ、日常的であるからこそ意外と複雑で、だからこそすっごく面倒くさかったんだけど、そこをあえて自分なりにばっさりとやってみた。

 

1曲目の「ウェブのウェーヴにご用心!」で世の中の人々に対するパリプロ的メッセージを撒いて、前半は「自分VS個人」な人間関係のやりとりについて、後半は「自分VS世間」なやりとりを歌って、ラスト2曲でまとめ、という構成。テーマは重めなんだけど、キラーチューンというキラーチューンが1曲もないので、全体的に地味。

 

「脳からの伝言」という言葉の意味は、前世の記憶とかデジャヴみたいに「この感じ、直感的に知ってるやつだぜ」と脳みそがこっそり教えてくれるようなもののこと。なかにしはそれを「ひらめき」だと思っていて、ジャケットが電球なのはそんな意味がある。遠くから見るとエクスクラメーション・マークに見えるのも、ひらめくときは「!」となるから。バケツから水が漏れてる理由は、各々でレッツシンキング!全曲解説はじまります!

01.「ウェブのウェーヴにご用心!」
こうゆうタイプの曲、好きだけど作ったことなくて、できたときはひとりでお祭り騒ぎ。途中でサンバっぽくなるとこは、完全にスタン・ゲッツ,チャーリー・バードの影響。ラストのギターソロは我ながらイカしてると思う。
歌詞はわりとメッセージを込めたつもり。なかにしはインターネット大好きだけど、ネットで仕入れた情報を知識だと勘違いしてしまうことがあるので、自戒の意味もある。

02.「なやみ」
特に歌詞カードには記載してないけどアルバムヴァージョン。シングルVer.の方が先に世に出たけど、こっちのアレンジは随分前から固まってたので実際はこっちが本家。「夏はスキップ」と同時期に出来たやつで、正確にはこいつのが先なのでパリプロソングの長男坊。
数少ない恋愛の曲…っぽく聴こえるけど、恋愛というよりも、異性に対して自分がよく抱く感情という方が適切。性別って、ときどきすっごく邪魔になる。

03.「大丈夫じゃない」
パリプロの初ライブから現在まで、わりと頻度高めに演奏しているので音源化する前から認知度は高めなはず。歌詞はストレートなので解説は不要かな。サウンドは子どもをイメージ。乱暴だけど悪意がないような、そういう音を作ってみようと思って作った。

04.「音楽なんてなくなればいいのに」
前作の「ロードムービー」でも歌ってるけど、音楽VS自分ってのは永遠のテーマなんだ。それに悩まなくなったら音楽なんてやってゆけない気がする。
これ、1番の歌詞だけ見ると「音楽がなければ君を一番に考えるのに」っていう恋人に向けた歌詞に見えるけど、まあ、2番のサビですぐネタバレしてるよね。なかにしの弟に向けて歌っている曲。

05.「なかよし」
大好物の速めの3拍子。サイケな曲が作りたいなーとか思ってやってみたけど、狂気を感じるサイケ感はあまり出なかったかな。結構トゲがあること歌ってるかもしれないけど、最後まで聴くと意外といいこと言ってる。たぶん、アルバムの中で一番気に入ってる曲。

06.「ぼくんち」
「真実の口」の解説で書いたことがそのまんま曲になった。続編という位置付けにしておこうかな。主張してることは「真実の口」と一緒なんだけど、サウンド面に関しても幾分かポップでマイルドになった。ちなみにバスドラなしの曲。

07.「ともだちフォーエバー」
前半の締め曲。歌詞が結構切ない。ドラムの打ち込み感強めにしたからマシンのように無機質で、それがまた切ないなーなんて自分では思っている。歌詞に出てくるような、ともだちなのか?こいつは?ってやつ、結構いるじゃんか。仲良くなりたいなー、でももう1歩踏み入ったとこまでは仲良くなれないや、みたいなやつ。で、結局、段々疎遠になって気付いたら連絡先不明になっていたりするんだよなー。

 

08.「おやすみ」

初のインスト。前半が終わってブレイクタイムという位置づけ。グッドナイト的おやすみって意味もあるけど、休憩という意味もある。前半での人間関係に疲れたので、しばらく休みましょうってわけ。

 

09.「居留守番」

自分VS宗教勧誘の曲。半分実話。完全にお遊びで作ったやつで、初めはライブ限定の曲の予定だったんだけど、コンセプト的にマッチしたので収録。別に宗教を否定してるわけじゃなくて、すぐに神様に頼ろうとしたり神様のせいにしたりすることへの批判。

 

10.「神様はいないことにした」

自分VS神様。前の曲で「神に失礼」と歌っておきながら、神の存在を信じないと歌っている。(この曲順は中々パンクだと思う。)神様の存在は認めるけど、おれは信じないぜ!という主張。神様を信じてると、不条理なことがあると神のせいにしてイライラしてしまうけど、信じなければ「運が悪かったんだぜ。」で解决できる。この考え方は結構楽だと思う。

 

11.「宇宙人とも打ちとけよう」

自分VS宇宙人。歌詞にもあるけど、とうとう存在すら認められていないやつとのやりとりまで悩み始めてしまったのだ!でも仮に宇宙人が目の前に現れたら、絶対コミュニケできない。(つまり自分とコミュニケがうまくいかないやつは宇宙人なのだ!)でも今の宇宙開発の進行具合とか宇宙の謎の解明度だと、しばらく宇宙人が現れる予定はなさそう。

実はこの曲、みゅーおおやまさんの「宇宙人がみてる」って曲のメロディを拝借したやつで、かなり影響受けて作った曲。でもみゅーさん本人が歌ってるのを初めて聴いたのは作り終わったあと、という絶妙な拝借具合。(みゅーさん、あらためてどーもです!)

 

12.「脳からの伝言」

タイトル曲、ゆーわけでこのアルバムの脳みそ的な役割。

人間の性格って、ある程度は分類できると思うんだ。こいつはこのタイプだからうまくやりやすい。あ、あいつはあのタイプだから距離はこの辺にしといた方がお互いしあわせだな、とか。でもそれは人間関係で悩みにくくなるだけで全く解决にはならないんだよね。でも解决できてしまったら、世の中には何も生まれなくなってしまう。タイプが違うやつがいるから世の中成り立ってる、っていう柔軟な考え方が最近できるようになってきた。なんか金子みすゞ的思想でちょっとダサいんだけど、やっぱひとつの答えではある気がするんだよなあ。特に好きじゃないけど、金子みすゞ。

 

13.「オンザルーフのロープ」

いろいろ悩みはするけど、結局は人と人って繋がりたがるんだよなーなんて思って。おれはひとりが好きだけど寂しがりやだから人と会うのも好きだし、世は大SNS時代!「繋がりましょう!」とか言ってスマートフォンを出せば、1度しか会ってない人ともネット上で半永久的に付き合えてしまう。そうやっていろんな人と知り合うから、「もっといい人がいるかも!」とか思って晩婚化が進んでるんじゃないか、とか考えたりもする。それに不況だしね。それが原因かは知らないけど、みんな寂しいんだよ、きっと。

サウンドの解説。ラストのシンセっぽい音はギター。実はおれ、エフェクター大好き野郎だからね。ヘンテコなエフェクター持ってたりもするんだ。だからこの曲で空間系とかノイズ系の音作りができてすごく楽しかった。メロディは中々ポップだと思うけど、曲自体はポップとは言い難いので「サイケデリック・アヴァン・ポップ」と勝手に呼んでいる。バンドで再現したら、もっとカッコよくなるんだろーなー。